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書籍『これからの消費者法 ー社会と未来をつなぐ消費者教育ー』

2020/08/10

 
「私が生きる世界はどのような世界であるべきか、どのような世界であってほしいのか」
この問の答えを消費行動で変えていくための知恵を与えてくれる1冊を紹介しよう。
著者は立命館大学の谷本圭子教授、京都産業大学の坂東俊矢教授と、京都大学のカライスコス アントニオス准教授。3名の著者はいずれも民法・消費者法研究の第一人者だ。

かつて、消費者の権利として消費者が知るべきことは、騙されないことであったり、商品の安全性や商品自体のクオリティであったのだと思う。この『これからの消費者法 ー社会と未来をつなぐ消費者教育ー』では、これらに加え、消費者の責任も同じだけ重要であることを伝えている。
配慮される側であるだけでなく、消費者は配慮する側であると。

内容が多岐にわたる。契約とはなにかや、発生しうるトラブルなどの基本を押えつつ、エシカル消費、SDGsなどが書かれていて、世界を作るのが消費者だと納得させられる。単に消費者法の説明にとどまらず、そこから世界の見方までを示唆してくれる。

例えば、食品表示法の説明から、牛肉のトレーサビリティを事例を紹介し、私達アニマルライツセンターではおなじみの個体識別番号を紹介する。個体識別番号を追えば牛がどこでどのくらいの期間飼育されていたかがわかる。オーストラリアで生まれた牛が日本で長く飼養されれば国産牛と表示されることから、読者の視点が一つの商品から世界を俯瞰する視点に導かれる。次にフードマイレージや環境負荷を考えて地産地消を促した上で、そのためには商品表示にとどまらず、もうひと手間かけて自ら原産国や安全性などを確認していく消費者行動が、世界の流通や生産に消費行動が影響していることに気付かされる。

これらの流れの中で、動物のことが何度も取り上げられている。
まず、人とその他の生物を区別して扱ってきたことを指摘し、動物、植物、生態系をないがしろにすることへの反省について触れている。
また、環境破壊、生態系破壊の原因として、家畜の過酷な扱いや肉の過剰消費が指摘されている。
そして、「人間とその他の生物との関係」の項目では、畜産を中心に、ペット、動物実験まで、細かく解説がなされている。
動物福祉と、動物の権利、動物愛護管理法や、農林水産省が出した通達「アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的な考え方について」にまで言及している。
世界の動物保護の法や動向も伝えつつ、この項をこう締めくくっている。

私達も自分が食べている動物や植物に同じ生物として思いを馳せることが、日本における畜産動物の取り扱いや、すべての動物の生き方をも変えていく力を持つ。さらには、この地球の生態系への関心につながるであろう。食用の動物と、ペットや野生動物は別だ、とどうして言えようか。


消費者の消費行動が、自分たちの未来を決めると、あらゆるトピックスを通じてうったえている濃い一冊。
どのような世界であってほしいのか、それを実現するのは消費者自身だ。その知恵を与えてくれるだろう。
動物の問題に限らず、未来のために、読んでおくべき一冊。

これからの消費者法: 社会と未来をつなぐ消費者教育
谷本圭子・坂東俊矢・カライスコス アントニオス 著
法律文化社 発行

 


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