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書籍「動物たちの心の世界」

2019/07/06

本書は、動物の心・意識に迫り、彼らが人間と変わりないという証拠を追求する一冊だ。

本の中にはダチョウ、シカ、ノドジロシトド(スズメに似た小さな鳥)、馬、ネズミ、スズメ、チンパンジー、ハト、ブタ、鶏などじつに多種多様な動物が登場する。

そしてそれらの動物たちが、私たちと似通っており、そして時に私たちにはとても真似のできない素晴らしい能力を示すことが、たくさんの研究記録の引用と共にしるされている。

動物行動学の読み物としても面白い。
たとえば、優れた識別能力を持つダチョウの話。
6羽くらいのメスダチョウは同じ巣に卵を産むが、どれが自分の卵であるかを把握しているそうだ。卵の位置がかわっても自分の卵であるかを認識することができる。どうやら卵の表面の小さな空気穴で自分の卵を見分けることができるらしい。卵の表面のくぼみにはわずかなパターンの違いがあり、人間には識別できないその違いをダチョウは認識できるというのだ。

クロライチョウの話も興味深い。かれらは一生において重要な時期に的確な選択をすることができる。
クロライチョウのメスはオスのつがいを選ぶとき、ある選択基準を用いているらしいが、研究者にはどうしても分からなかったという。健康か病気か、体が大きいか小さいか、尾が美しいかそうでもないか、そういったことはどうやら関係ない。じつはなんと、メスはつがいになった6か月後にもまだ生きているオスをつがいに選んでいたのだ。生存能力の高い父親のもつものを次世代に受け継がせるために。

他にも動物が相手に致命的なダメージを与える暴力を避けるエピソード、何千もの異なった場所に隠した餌を再び取り出すハシブトガラやアメリカコガラ(人間にできるひとがいるだろうか?)、血をたくさん吸えなかった仲間に血をわけてやる吸血コウモリ、毎日生死のかかったきわどい状況分析を行い餌を確保するスズメ、危機管理能力に優れたシマウマ、ミツバチ(ミツバチがどれだけ高度な社会生活を営むかご存知の人は多いだろう)、視線をそらして「ごまかし」を行うヒヒの話など、動物を身近に感じることができるエピソードが詰め込まれている。

ただ、「こんなかわいそうな実験しなくてもよかろう!」というような研究も中には引用されている。例えば、ファーブルがジガバチに対して行った実験。
ジガバチが餌を巣穴に入れる前に入口において、巣穴に異常がないか確認しに行っている間にファーブルが餌を巣の入口から遠ざける。戻ったジガバチが餌をまた入口の近くに引きずってくる→巣穴を確認しに戻る→ファーブルが餌を遠ざける→ジガバチが餌を入口の近くに引きずってくる→巣穴を確認しに戻る→ファーブルが餌を遠ざける→ジガバチが餌を入口の近くに・・・を延々50回も繰り返した研究とか。
ラットに調子が悪くなる餌を食べさせて、その記憶が次世代に受け継がれるかという実験とか、マウスにタバコの煙を吸わせる実験とか。
特に、侵襲的な実験はほんとうにやめてほしいと思う。

あと一点だけ。
豚にとって友情が大事か食べ物が大事かという研究には納得できないものを感じた。
日本の動物福祉文献でもこの研究を引用しているものがあるが、豊かな感性を持つ豚に対してあまりに単純すぎる実験で、こんなので豚が考えてることが分かるか?という気がする(研究の結果は豚は友情より食べ物が大事というものだった)。

と、そんな批判をしつつも、動物たちの世界に触れることができる貴重な一冊であることにかわりはない(日本の著書でこういう本は少ない)。「動物は愚か」「人間より下」と思い込んでしまっている人に「いやいやそんなことないよ」と情報提供する資料としても、貴重だと思う。


 


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