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犬や猫、豚や鶏や牛、ウサギやマウスやイルカなど、私たちが知らない動物たちの本来の姿や、行動を紹介します。

シンガポールの動物保護団体ACRES (エイクレス)レポ

2016/06/14

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ACRESは、 

すべての動物に対して、尊厳と思いやりを持とう、
動物の福祉をよいものにしていこう、
人々に動物や環境を犠牲にせずに生活していくライフスタイルを教育していこう

 
という目的を持って、2009年に設立されたまだ歴史の浅い団体です。
そのウェブサイトを見ると、共感できる部分が多く、こんな素晴らしい団体が、こんな小さな国に存在しているのを知って、とても嬉しくなりました。

シンガポールには、犬と猫を保護しているSPCA ( Society for Prevention of Cruelty to Animals) という団体があります。これは、一般の人にも知れ渡っているのですが、ACRESは、残念ながらまだ多くの人がその存在を知らないようです。


ACRESは、公共のバスは通っていないシンガポールのはずれの方に存在しています。
最寄りの駅からはタクシーに乗って訪ねたのですが、皮肉なことにそこはたくさんのFish Farm(魚や蛙の養殖場)が存在している地域です。
そんなFish Farmを通り抜けた所に、動物を描いた壁の建物が目に入り、ホッと一安心した心持ちで、その敷地に足を踏み入れました。

まず、予約を取っていたCharlene(シャーリーン)を探しにオフィスへ・・・。
「わあ~、広いなあ!」 
というのが、第一印象。
たくさんワークデスクがあって、時間的に人影はまばらでしたが、日中はきっとたくさんの人が働いているんだろうなあと思いました。
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施設を見学へ

保護した野生動物のためのスペース
下記にはベビが収容されていますが、そんなに良い環境とは言えません。
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子供たちに教育するための大きな部屋
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ボランティアの人たちが寝泊まりできる施設
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ACRESのロゴ付きの黒で決めた車が数台
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などを見て、「なんて、潤っているんだろう!」が、最初の感想でした。
(シンガポールでは、車は日本だったら家が買えるくらい超高価なもので、シンガポールの税制上の優遇があったにしろ、かなりの高額な費用がかかったに違いありません。)

そのような活動費はどのようにして賄っているのかとまずは思ってしまい、率直に聞いたところ、すべて寄付によるものとのことでした。

日本では、動物愛護の団体がこれほど、大きく活動するための寄付は得られないと思うと伝えると、シンガポールの場合は動物のためのNPO法人の数が少ないから分散されないからだろうと言っていました。
また、年度末の財政調整での寄付も多いそうです。
シンガポールは国自体、現在でも経済がよく回っているようで、会社も個人も日本に比べたらずっと余裕がある印象を持ちました。その恩恵がACRESにも回ってきているのかもしれません。
例えば5月に資金集めのディナーパーティーが企画されていたのですが、広告を見ると、会費が日本円にしたら一人22,000円と高額なのですが、それでもたくさんのチケットが売れているようでした。

まずは、運営的なことに、目がいってしまいましたが、実際どういう活動をしているかは、その後、Charlene が施設を案内しながら、いろいろと説明してくれました。

サンクチュアリも

敷地内には保護した野生動物のための、サンクチュアリがあります。
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すべてが近代化された都市国家とはいえ、もともとはジャングルだった土地柄ですから、野生の動物もいまだに生息しています。ただ、そこに保護されている動物は、蛇、陸ガメ、水ガメがほとんどだったのですが、実際シンガポールに生息していたわけではなく、不法な捕獲、販売の対象にされたものが多いようです。

ACRESには、レスキュー隊があり、要請があれば駆けつけて、レスキューに向かうのだそうです。
レスキューされるのは、迷い込んでしまった蛇だったり、不法売買の犠牲になったワイルドアニマルだったりとのことです。

その動物が生まれた国に帰すことが出来る状況の場合は、帰してあげるのが原則のようですが、体が弱っていたり、政治的な状況で難しい場合は、このサンクチュアリで世話をするそうです。

サンクチュアリと言っても、それほど大きなエリアではありませんから、レスキューを頼まれた野生動物すべてを保護するわけにはいかないのではないかと思うのですが、その辺の所は、聞きそびれてしまいました。

大きな蛇たちは、オリの中へ・・・。
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陸ガメたちは、周りだけかこわれたエリアに入れられていました。
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考えると、私は陸ガメをこんなに目近で見たのは、初めてで、無心に葉っぱを食べている姿も、ただ、のっそのっそと動いている姿もとっても愛らしかったです。

教育センター

部屋内は、テーマ別にいくつかのコーナーにわけられています。

ファームアニマルに関するコーナー
動物園に関するコーナー
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イルカなどに関するコーナー
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熊の捕獲に関するコーナー
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子供たちのツアーがある時には、順に回って説明しているようです。

真ん中にはステージ風のエリアがありました。
そこでは、締めくくりにACRESのスタッフの人たちが劇によって子供たちに動物への思いやりを持つことの大切さを伝えるのだそうです。
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ところでいったい子供たちは、どういうきっかけでACRESに見学に来てくれるのだろうと思いましたので聞いてみたところ、学校が企画することが多いのだそうです。

厳しい学歴社会ではありますが、多民族国家であるシンガポールでは、いろいろな人々の考えを尊重する流れがあるので、先生たちも抵抗なく校外活動としてACRESを選ぶのではないかと思います。
また、学校の引率ではなくて、自分のプロジェクトのテーマとして選んで長期の休み中に来る子供も多いようです。
 

シンガポール動物園水族館事情

シンガポールと言えば、動物園が有名です。
 
シンガポールの動物園は日本の動物園に比べれば、ゆったりとしたスペースが与えられているので、福祉にもより配慮されている印象を受けるかもしれないのですが、ショーの数がやたらと多いのです。
ですから、ACRESでは、動物の芸を止めさせるということにポイントを絞って動物園にアプローチしているそうです。これまでにはやめさせることに成功した例もいくつかあるそうです。
 
ただACRESでは、レスキューの件では動物園とも連携を取っているため、関係が悪くならないように配慮しながら話を進めていく必要があるようです。
 
そして、大きな課題は、イルカだそうです。
シンガポールには大きなアトラクション、観光名所として “Delphine Island” なるものが存在しています。これは、国がプロモートしているものなので、とてもセンシティブなイシューで、イルカの運動を進めていくのは慎重にしなければいけないとのことです。



このように、ワイルドアニマルの保護、虐待の捜査、動物園、イルカ問題、そして教育活動が、ACRESの活動の中心になっています。 
私が一番興味を持っている家畜・屠畜に関しては情報が乏しく私が知りたかったことへの回答はほとんど得ることができませんでした。
ただ、日本に帰って来てからメールでもう一度問い合わせたところ、家畜の担当になっている係の人と、連絡を取ることができました。彼女によると、多くの人々に家畜への意識を向けさせ、それによって家畜の福祉を向上させていくこと、それをゴールとしているとのことでした。日本の動物の権利団体、アニマルライツセンターのサイトにも目を通して下さったようで、同じようにバタリーケージの鶏に関してのキャンペーンをしているとも伝えてくれました。
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見学とお話から、ACRESは一般の人たちにラディカルと受け取られないように、マイルドなスタンスで多くの人々に近づいていこうとしているなと感じました。



シンガポールを訪れる機会があったら、是非、見学に行ってみてはいかがでしょうか。
Tシャツや、バッジ、栞、バッグなどのグッズも販売していましたよ。
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なお見学は事前のメールか電話での予約が必要です。 
ACRES : http://www.acres.org.sg/

文・写真:米沢玖来乃
 


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